2015年05月08日

あの桜並木だけは


いつだったか、息を呑むほど美しい桜の花を
まだ少女だった私が見たのは、京都の山の中だった。

その何年後だったか、
ワシントンDCで学生をしていた私は、
ポトマック川沿いで満開になった桜を見た。

日本から贈られたという、三千本以上のソメイヨシノの
すべての花が咲き誇る様は、胸がいっぱいになるくらい
本当に見事で美しく、花を見上げて歩く私の目からは
もう少しで涙があふれそうだった。

白っぽいピンクの花びらは霞のように頭上に広がり、
遠く日本から離れた私に、あの京都の山の中で見た
夢のような桜の花を思い出させてくれた。

満開の桜の花に哀愁を覚えるのは、
その花たちが風に吹かれてはらはらと
あまりにも儚く散ってしまうせいなのか、
遥かな故郷の春の記憶にリンクするせいなのか、
私はただただその場から離れがたく、
しばし茫然と桜の花に包まれていた。

ワシントンDCには、もう帰ることもないだろうけれど、
あの桜並木だけは、また見てみたいと私は思う。


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Posted by iooi at 12:47 | Comments(0) | pad
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