2015年05月20日
自民党の圧勝で
『奥の細道』に収められている芭蕉の句に
「這(は)い出よ かいやの下の 蟇(ひき) の声」というのがある。
芭蕉の句の中でも、何の変哲もない面白さに欠けるような句に見える。
ところが、よく見ると、何やら隠された構造的な作為的な意味がありそうだ。
この句は、陽暦の7月初旬に尾花沢の商家に逗留したときに詠んだものとして出てくる。
「かいや」というのは、
蚕(かいこ)を飼っている養蚕家の館を意味する言葉。
意味を簡単にいうと、
「養蚕家の館の下から 這い出て鳴けよ ヒキガエル」と捉える事が出来る。
蚕は5月初旬に幼虫を育て始め、7月初旬に繭を作るもの。
その間、蚕は、ひたすら桑の葉を食べる。
皇室で蚕を飼っているという事はよく知られている事だが、
昭和41年に、美智子皇后の詠まれた歌に
「夏の日に 音たて桑を食(は) みゐし蚕(こ) ら 繭(まゆ) ごもり 季節しずかに移る」
とあるように、かなりの音を立てているものらしい。
逆に「ヒキガエル」は、基本的に夜行性の動物。
春に一度冬眠から醒めるが、再び意識的な冬眠をして、7月の初旬までは声すらたてない。
この頃の「ガマ」は毒があり食用にもならない。
芭蕉が、この養蚕家を訪ねたときは、蚕が音を立てて食べていたのに、
次から次へと繭をまとい、次第に食む音が聞こえなくなってくる。
そこで芭蕉先生は、静かになった館で、
「さあ、今度は君の番だよ」と言って、床下をツンツンしながら、
ヒキガエルの様子を覗き込んでいる句という事らしい。
「上で籠(こも)りに入れば、下では籠りから出てくるもの」
すなわち、「一つが籠れば、次が出てくる」を表している。
昨日の参議院選挙は、自民党の圧勝で、
芭蕉ではないが「さあ、(籠りから醒めて) 今度は君の番だよ」ということになった。
民主党は、惨敗の結果、籠りゆくことになり、
すべてが完了したと言える。
あれは3年前のこと、民主党は、籠っていた状態から政権のオモテ舞台へ上がって出たが、
何ともギクシャクとして定まらなかった政策の残像が、
国民の心に、いまだに強く残っている。
国民が民主党に突きつけたものは、「ずっと籠っていて欲しい」という事のようだ。
たいてい籠りから醒めたヒキガエルには「毒」があるもの。
あの3年間、首相を歴任した人たちの「毒」ばかりが目立ち、
「ガマの油」のような良薬は、ついに見ることが出来なかった。
Posted by iooi at 10:57 | Comments(0) | pad